ビーチ

2023年10月19日

フラワーエッセンス・ビーチ/Beech

ビーチ (ヨーロッパブナ)

ブナ科ブナ属 学名:Fagus sylvatica 和名:ヨーロッパブナ

バッチ医師はビーチのフラワーエッセンスを「過剰に人のことが気にかかる(人に干渉しすぎる)」というカテゴリーに分類し、「周囲のあらゆるものの中に、もっと多くの良い点や美しい点を見出す必要がある人」のためのエッセンスと説明しています。

物事や状況の不十分な点、人の欠点や足りない部分。そういうところばかりが気になって、批判的に見てしまうようなときに助けになるエッセンスです。

これは「内的な劣等感や過敏さをまわりに投影」している状態で、内面ではとても傷つきやすく不安をかかえているとFESは解説しています。そのため周りの影響を受けやすく、その不完全さに耐えられません。自分自身の不完全さを受け入れる代わりに、外側に見える不完全さに過敏に反応してしまいます。

ビーチのエッセンスはそのようなたましいの痛みを和らげます。そして、人それぞれ状況や立場が違うことを受け入れ、違いを超えて人や物事の良い面や美しいところに意識を届かせ、心を寄せることができるように助けます。

フラワーエッセンス・ビーチと共鳴する心

【ビーチが助けになる人の経験しやすい傾向やパターン】
・人の置かれている立場や見解の違いを受け入れることが難しく、物事や人の悪い面や欠点ばかりが意識される傾向。批判的で寛容さがなく過敏に反応する。

【パターンのなかに内在されている目覚めようとしている性質】
・人や状況の中の良い面を見ることができる。

日常で使うには

・不平ばかり言ったり、あら探しをしたりする傾向があるときに。

・いつも泣いていたり、ぐずったりする赤ちゃんや子どもに。

・寛容さが必要なときに。

・すべてが正しく行われるべきだと思っている人に。すべてにおいて細部にこだわる人に。

・人生が不公平に思われるとき、ビーチは違った視点から人生を見るのを助けます。

・花粉や埃などに対する過敏症に。その他特定の状況に対する過敏さに。

植物としてのビーチの特徴

ヨーロッパブナはヨーロッパ原産の落葉高木で、石灰質土壌を好み、高さ30m、幹の周囲が200cmにまで達します。樹皮は平滑で灰色をしています。葉は単葉で浅い鋸歯があり長さは5-10cm。花は単性の風媒花で雌雄同株です。雄花は長い柄の先に集散花序につき下垂します。雌花は2個ずつ総苞に包まれます。

ブナ属は温帯を代表する樹木で自然ではしばしば極相林(*1)を形成します。ヨーロッパブナの森では地面に届く日光はわずかしかないため他の植物の生育が難しいのですが、ブナの若木は日陰を好むので生育することができます。親木が枯れて日当たりがよくなると勢いを増して成長しブナ林の構成木になります。混生する木は少なく純林をつくります。

また、ヨーロッパブナは根の組織の吸収力によって土壌の空気循環を促し、地表に堆積したブナの枝葉に含まれるカリウムのために他の種類の木よりも土壌の生産力を保持することができます。ヨーロッパでは「森の母」と呼ばれています。またその樹形の美しさから「森の女王」とも呼ばれています。

属名のフェイガス(Fagus)は、その実が食べられたことからギリシャ語の「食べられる」という意味を表すphegosに由来します。beechという英語はbookと同根の古いチュートン語に由来し、古代北欧種族は符号やルーン文字をビーチの樹皮や板に刻んだといわれています。ヨーロッパブナはケルトの伝承では知恵と復活の生き物である蛇と関連づけられていて死と再生の象徴でもあります。

日本に自生するブナ属はブナ(Fagus crenata)とイヌブナ(Fagus japonica Maxim.)です。ブナはヨーロッパブナに近縁の葉の短い近代的なブナです。

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*1:極相林(きょくそうりん):自然のままに放置された植生は、コケ、一年草、多年草、低木、高木というように、群落として遷移していきますが、その最終段階の森林のこと。これ以降は樹種の構成がさほど変化しない状態になった森林。

参考文献

・ジュリアン・バーバード/マーティーン・バーナード『Dr バッチのヒーリングハーブス』スミス マキコ訳 BABジャパン、2003
・ジュリアン・バーナード『バッチフラワーレメディー 植物のかたちとはたらき』 谷口みよこ訳 Lindisfarne Books
・『園芸植物大事典1』小学館 1988
・『日本の野生植物 木本1』平凡社 1989
・梅原猛、他 『ブナ帯文化 』思索社 1985
・『週間 朝日百科81 世界の植物』

Posted by takahara.daisuke