SEED3-6のフォロー:「こころの問題と因果律、そして転移・逆転移」

はじめに

SEED3の第6回、第7回、第8回は転移・逆転移を中心に人の「こころの領域」にかかわる際にとてもとても重要な概念について学びます。その中で、先日(第7回)はまず、「こころの領域の問題は因果的に説明できるの?」ということを出発点に、転移・逆転移という現象が発見された経緯と実際にそれは私たちにどのように起こっているかを見ていきました。

こころの理論と因果律

・こころの理論の因果的な説明と科学の因果的な説明は同じではない。とくに無意識を前提にするこころの理論は自分が自分のことに取り組んだ経験が土台となっていて、それにある程度普遍性をもたせたもの。たとえば、フロイトの精神分析やユングの分析心理学(フロイトは神経症を、ユングは精神病ともいえる状態を自己分析を通じて克服していく)。バッチ博士のフラワーレメディの38の体系も同様と僕は思いますが、みなさんはどう考えますか。

・無意識を含むこころの領域には、共時律(コンステレーションとか、共時性:意味のある偶然の一致など)がはたらいている。けれども、人間には物事を因果的に理解しようとする強い傾向がある。因果的に道筋が見えると安心するし、コミットできる。こころの領域の因果的な説明は、基本的に本人が自分の体験について自分が納得するために使うなら使える。でも、科学法則と同じように他人に適用して使うことはできない。

・こころの理論の因果的な説明と科学の理論の因果的な説明が大きく違うもう一つの点は、科学の理論は「関係」を排除することで普遍性に至るけれども、こころの理論は「関係」が大きな意味をもつところ。こころを扱う場合には「人間関係」を避けて通ることができない。たとえば、プラクティショナーが白衣を着て表情を崩さずにたんたんと話を聞いていったときと、堅苦しくない服装で、まあ、お茶でもどうですか~って言って話を聞いたときとでは、クライエントの話す内容に違いがあるだろうということは容易に想像できます。「関係」のあり方が重要な要素になります。だから、こころの理論は科学の理論を適用するのと同じようには、他者に「適用」することはできない。

「転移」

・こころを扱う場合の人間関係の問題は、まず「転移」という現象として注目された(フロイトの発見)。

「転移(transference)
特定の⼈に対する過去の感情を、これと何らかの意味において類似点をもつ第三者におきかえる、感情についてのおきかえを意味する。その原型となるものは、幼児期における両親に対する小児的感情を、何らかの点において両親をしのばせる第三者におきかえる現象が⾒られる。」(小此木啓吾、河合隼雄「フロイトとユング」)

・恋愛関係とか、先生と生徒の関係とか、上司と部下の関係とか、援助する人と援助される人との関係とか、アイドルとファンとか、カリスマと信奉する人とか、・・・日常的な関係でも「転移」は起こっている。要するに、目の前の相手に、自分の過去の人間関係のなかで感じた感情を重ねていること。とくに子ども時代の両親に対する感情。(ユング派の解釈はちょっと違うので、それについては第7回、第8回で。)

・たとえば、恋人には、両親との間で満たされなかったものを満たしてくれることを無意識に期待していたり、同時に両親のように振る舞ってくれることを無意識に期待していたりする。あるいは、両親との間で傷ついたと同じ経験をするのではないかと無意識に恐れてもいる。このようなことは誰にでも自然に起こっていること。起こっていること自体が悪いわけではない。つまり、私たちはいくらかはその人自身に触れているかもしれないけれども、無意識の期待や恐れでその人を色づけして見ているということ。

そして、どこかの時点で相手は期待した通りではないことに気づき、失望する。あるいは、無意識に恐れていた傷つきを再び経験する、ということが起こる。(結婚して、とくに他の家族が一緒に暮らさない二人の関係になったときにクローズアップされやすいと思う。中年の危機などもこれに関連して起こることもあると思う。)

これは恋人や夫婦の関係だけでく、先生とか上司との関係でも起こる。「理想の先生を見つけた!」とか「この人は理想の上司だ!」とか思ったことはありませんか?でも、たいては関係が進展してくると、「あれっ?!」と思うところを発見しますね。転移が強いと「裏切られた」ように感じることさえあります。

このようなとき、自分が目の前の相手に重ねていた無意識の期待や恐れなどの感情に気づくことができれば(「転移」に気づくことができれば)、目の前の相手(他者)との本当の関係が始まる。もし、気づかなければ、愛そうとしているのは依然相手の中に映し出した自分自身であって、それにそぐわない相手の欠点やいやなところばかりがクローズアップされる。

僕は結婚して何年かしたときに、あれっ、母親がフツーにやってくれたことを妻がやってくれないことに失望しているんじゃないかとリアルに感じたことがあります。そこから、相手は育った環境の全く違う人間(他者)なんだと自覚するようになりました。そのあたりが本当の意味での「結婚」の始まりだったんじゃないかと思っています。こういうことは、わざわざ「転移」という名前をつけなくても、日常の中で起こっていることでもありますね。

転移/逆転移

転移はクライエントがセラピストやプラクティショナーに抱く感情で、逆転移はセラピストやプラクティショナーがクライエントに抱く感情。これについての詳しい解説は第7回で。

転移/逆転移を理解する目的

第7回で再度確認します。

1.決してクライエントに転移/逆転移の理論を「適用」して、それを指摘するためではない。ただし、そういう訓練を受けた臨床心理士や精神科医の人は別です。

2.クライエントと自分を再び傷つくことから守ること。

3.クライエントへの理解を深めるため。

課題

「転移/逆転移」についての自分自身の経験を書き出してみてください。

 

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