クレマチス (クレマティス)とハニーサックルを比べてみる
クレマティス(クレマチス)も、ハニーサックルも、フラワーエッセンスを最初に開発したエドワード・エドワード・バッチ医師が「現実に関心をもてない」というカテゴリーに分類したフラワーエッセンスです。つまり、どちらもいま目の前のことから意識がそれやすい傾向があるときに助けになるフラワーエッセンスです。今自分がやっていることに十分にエネルギー注げないようなパターンです。
そして、この2つのフラワーエッセンスが響く典型的なタイプについて比べてみると、意識がいま目の前のことから逸れて、どこに向けられるかという方向に特徴があります。
こうなったらいいなぁという未来と、あのときはよかったなぁという過去
結論からいうと、クレマティスのタイプの場合は「こうなったらいいなぁ」といった夢のような未来(の空想)に向けられる傾向があり、ハニーサックルのタイプの場合は「あのときはよかったなぁ」といった過去のことに向けられる傾向があります。クレマティスのフラワーエッセンスは、未来(の空想)に向きやすい意識を、ハニーサックルのフラワーエッセンスは過去に向きやすい意識を今ここに向けるのを助けます。
クレマティス:自由で豊かな想像力を、空想の世界から今ここに
クレマティスのフラワーエッセンスが響く典型的なタイプは、空想の世界や夢の中で時間を過ごすパターンをもっています。あったらいいいなぁという未来のことといっても、現実的な目標としての将来ではなくて架空の世界のニュアンスの強いものです。空想とか、想像とか、夢想とか、妄想とか…。自分にとって大切な世界や居心地のいい世界を好きなときに訪れて好きなときに戻ってくる…そんな感じです。
けれども、クレマティスのタイプが本来もっている可能性(潜在的な能力)は、想像や空想やインスピレーションを誰の手も届かないところにしまっておくのではなくて、社会のために現実の世界(いまここ)に形にしていくことのできる豊かな想像力と創造力です。
ハニーサックル:過去の世界を出て今に希望を見出す
ハニーサックルのフラワーエッセンスが響く典型的なタイプは、今と比べてよかった過去のことばかり考えていたり、叶わなかった願いや夢に浸ったり、あの時ああしておけばこんなふうになったんじゃないかという考えにとらわれたり…。そうやって意識が過去と過去に関する世界に向けられるパターンがあります。
けれども、ハニーサックルのタイプが本来もっている可能性(潜在的な能力)は、建設的に今を生きるために使うことのできる豊かな創造性とハートの力です。大切な過去の経験を心の奥にしまって変化に背を向けるのではなくて、その経験のエッセンスを受け取り、そこに置いてきた可能性をいまここに自由に広げていく力です。
典型的なハニーサックルのタイプでなくても、大切な人を亡くしてしまったり、大切な場所を離れたりすると、意識がそこに留まったまま前に進めないようなことは誰にでも起こりうることだと思います。ハニーサックルのフラワーエッセンスはそのようなときの助けにもなります。ホームシックになったり、年齢を重ねることを若さを失うこととイコールに捉えすぎてあまりに受け入れがたいく感じたりするようなときにも、過去に向かっている意識を今に向け直し、創造的に使えるよう助けます。変化を受け入れて「今」を生きるのを助けます。
日本に自生する類縁種の植物
クレマティスにも、ハニーサックルにも、日本に類縁種の植物が自生しています。
センニンソウとボタンヅル
クレマティス(Clematis vitalba)の仲間で日本の里山に自生するのは、センニンソウ(Clematis terniflora)とボタンヅル (Clematis apiifolia)です。センニンソウもボタンヅルも、近くに行くと独特の濃厚な香りが風に乗って漂ってきます。クレマティスと同じように、つる性で高いところに登っていってたくさんの白い花を咲かせます。その白い光のようなたくさんの花は柔軟なツルで大地にしっかりと結ばれています。
観察に出かけてセンニンソウやボタンヅルに出会ったら、高いところに咲く花と大地をつなぐ一番太いツルを手で触ってみてください。そうすれば、(クレマティスのフラワーエッセンスに響き合う人の)自由で豊かな想像力が現実の大地にしっかりと結ばれて花開いていく姿の美しさを確かめることができます。

センニンソウ

ボタンヅル
ジャパニーズ・ハニーサックル
フラワーエッセンスがつくられるハニーサックル(Lonicera caprifolium)の仲間で日本に自生している代表的なものはスイカズラです。「ハニーサックル」という名前も、日本の「スイカズラ(吸い葛)」という名前もどちらも「蜜を吸う」行為に由来しているのは、興味深いですね。
スイカズラ(学名Lonicera japonica)は5月下旬から花が咲き始めますが、近くに行っただけで濃厚で甘い香りがします。スイカズラも、ハニーサックルも、花の形の特徴の一つは花冠の根本が細長い筒状になっていて唇形をしていて、深い奥行きのある形で内部に空間をもった形をしています。花を観察していると、花の内部空間の奥にある蜜と、心の奥にしまわれた過去の記憶とはつながるのだろうか…などという妄想が掻き立てられます(^^) 妄想をもう少し許していただけるなら、ハニーサックルのフラワーエッセンスは、意識が過去に留まったまま前に進めないようなときに今に向け直し創造的に使えるよう助けることと、仲間のスイカズラが今を盛りに咲いているときに、花の奥にある蜜がそこに留まっているのではなくて、風の力でいまここの空間に甘い香りを漂わせることを、根拠なく結びつけてみたくなったりします。

スイカズラ
まとめ:クレマチス (クレマティス)とハニーサックル
1.クレマティスのフラワーエッセンも、ハニーサックルのフラワーエッセンスも、「現実に関心をもてない」というカテゴリーに分類され、いま目の前のことから意識がそれやすい傾向があるときに助けになるフラワーエッセンス。
2.クレマティスのフラワーエッセンスが響く典型的なタイプは、空想の世界や夢の中で時間を過ごすパターンをもっているが、クレマティスのタイプが本来もっている可能性(潜在的な能力)は、想像や空想やインスピレーションを誰の手も届かないところにしまっておくのではなくて、社会のために現実の世界(いまここ)に形にしていくことのできる豊かな想像力と創造力。
3.ハニーサックルのフラワーエッセンスが響く典型的なタイプは、今と比べてよかった過去のことばかり考えたり、叶わなかった願いや夢に浸ったりというように意識が過去に向けられるパターンがあるが、ハニーサックルのタイプが本来もっている可能性(潜在的な能力)は、大切な過去の経験を心の奥にしまって変化に背を向けるのではなくて、その経験のエッセンスを受け取り、そこに置いてきた可能性をいまここに自由に広げていく力。
4.クレマティスも、ハニーサックルも、日本に自生している類縁種の植物があります。これらのフラワーエッセンスがつくられる植物そのものを日本で観察することはできませんが、類縁種の植物を観察できると、フラワーエッセンスをさらに身近に感じられる。
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*1:松岡敏郎/山原修二 『京都の薬草百科』京都新聞社, 1986, p127
参考文献:ジュリアン・バーナード(谷口みよ子訳) 『バッチのフラワーレメディー 植物のかたちとはたらき』フラワーレメディー・プログラム・ジャパン 2013, p.262