ケイローン…苦しみを共有する傷の知識

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癒えない傷に苦しむ神が同時に癒しの神であったり、

傷つける神が同時に癒しの神であるといった神話的な主題は、

現代ではなかなか受け入れがたいものですね。

 

僕らはふつう病気は病気、治癒は治癒として見ているし、

傷に苦しむ存在と治療を与える存在とをはっきり分けて考えます。

それが合理的な考えです。

 

けれども、僕らの心の深いところで起こっていることを考えてみると、

死と誕生はそれほどかけ離れた存在ではないのかもしれません。

 

死を身近に感じることで新たな生き方に目覚めることもあります。

傷つくことを通して人への深い思いやりを身に着けることもあります。

古い自分との決別が同時に新しい自分との出会いであったります。

そう考えてみると、光と影の両方を併せ持つ古代の神々は

案外今も僕らの心深くに生き続けているのかもしれません。

 

昨日と変わらぬ今日を生きていると思っている私たちの心の深いところでは、

大小さまざまな「死と再生」の物語が繰り広げられている、なんて考えてみるのはどうでしょう。

 

最後には偉大な癒しの神となったアスクレーピオスの誕生が

死んだ母親の胎内から救い出されることによってもたらされたことは物凄く象徴的です。

また、彼に医術を教えたケイローン(キロン)は癒えない傷に苦しみ、

自らの傷を癒そうと努力することによって偉大な癒しの教師となったこともまた象徴的です。

 

カール・ケレーニイは『医神アスクレピオス』の中で、ケイローンの物語について次のように述べています。

したがって、この神話物語に述べられた根源の医師、明るい医神の前段階にして先駆者の医師が、後世のために具現化した根源の学問は、あたかも治療を行う者が永遠にその苦しみを共有する傷の知識にほかならなかったような印象がある。(*1)

 


*1: カール・ケレーニイ(岡田泰之訳)『医神アスクレピオス: 生と死をめぐる神話の旅』白水社, 1997, 140p-141p

セントーリー

ケイローンといえばセントーリーですね!

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