モンキーフラワー・フォーミュラ(5)…イニシエーション

 

モンキーフラワー・フォーミュラ(4)からの続きです。(2002年6月に School of Healing Arts and Sciences 主催で行われたハワイ島でのリトリートのフラワーエッセンスを使った取り組みについて書いています。)

 

 

3日目の午後は海遠足。

シュノーケリング・スポットまでは船で行く。

 

外海に出るとかなり波が高くなる。

必然、船首は大きく上下に揺れる。

時にジェットコースターのような迫力だ。

 

僕は手すりにつかまって立っていたけど、

手すりがなければとても立ってはいられない。

 

波のリズムに身体を預けようと思うのだが、

どうしても頑張って立ってしまう。

海に対する恐怖をなんとか自我の力でコントロールしようと、

頑張っているのだった。

 

やがて船が速度を落とし始めた。

到着かと思いきや、

「イルカたち」だった。

群れのイルカたちが船の近くにやってきた。

 

船上はいっぺんに沸き立った。

「あっち、あっち」

「どこ、どこ?」

「あっ!こっちにも」・・・

気がつくと船の下を一緒に泳いでくれるイルカがいた!

 

僕たちは彼らの歓迎にこころから満足した。

 

イルカ

 

シュノーケリング・スポットは、このあたりでは少ない砂浜になっていた。

お昼のサンドイッチはその砂浜で食べましょうということになった。

 

しかし!

船を砂浜に着けることはできない。

ということは、船から砂浜までは自力で行かねばならぬ。

 

ビート板は使用可なのだが・・・。

距離にして100m?、150m???

海底は何メートル下だろう (・。・;

 

こういうときは覚悟を決めるしかない。

この3日間で浮いているだけなら

シュノーケルを使って呼吸をすることに慣れ始めていた僕は

ビート板なしで行くことに決めた。

足に合うフィンを借りて、いざ出陣。

 

それは僕にとってイニシエーションだった。

船から下ろされた階段から

暗い海の懐に静かにからだを預ける。

 

はるか(?)下に見える白い砂の海底。

魚たちの世界を楽しむ余裕は今はない。

はじめて身をゆだねた本物の海だった。

 

まずは砂浜よりも近い岩場を目指して泳いだ。

そこで僕を迎えてくれたのはウミガメだった。

岩に生える海草を食べにきたようだった。

彼の泳ぎに、ひととき不安を忘れた。

 

なんとか砂浜にたどり着いた身体は震えるほど寒かった。

その日は曇っていた。

砂をかけて身体をあたためながら、

沖の波に揺れる船を見ていた。

海には少し入っただけで、あとは砂の中にいた。

 

ここの海でも1、2度プチパニックを経験したが、

フィンをつけていれば顔を上げても浮いていられる。

 

帰りは船の近くまできて、しばらくそこに浮いていた。

船に戻ってくる人を、波に揺られながら迎えた。

 

全員戻ってきたことを確かめて再び船は動き出した。

 

西の空の雲を夕日が赤く染め、

 

雲の切れ間から海へと幾筋かの光が差していた。

 

 

 

この世のものと思えないほど美しいその光景を

 

静かな涙を流しながら見た。

 

恐れを超えたときはじめて、

 

自分の中にある憧れを思い出す。

 

 

 

涙は、憧れを覆い隠していたものを静かに溶かして

 

恐れと憧れを一つにつなげた。

 

胸の奥で二つのものが一つに溶け合うときの温度が

 

大海原をゆく船の上の僕を満たしていた。

 

 

 

ずっと昔、砂の中に隠した宝物に

 

隠したことさえ忘れてしまった宝物に

 

自分の指が触れたような気持ちだった。

 

 

 

ずっと感じてきた恐れは

 

たましいの焦がれるような海への憧れと一つだった。

 

 

 

完全に船の揺れに身を任せている自分がいた。

 

 

(つづく)

 

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