先日の記事で紹介したNHK Eテレ100分de名著「河合隼雄スペシャル」のテキストの河合俊雄先生の解説より。

 

クライエントの心を縛りつける「Why」の鎖を共に辿り、その人を揺り動かしている情動がおさまって心のバランスを取り戻していく過程を”共に歩む”のがセラピスト(心理療法家)の本領です。クライエントの問いや悩みに「解答」を与えるのではなく、「解決」へと至る道を一緒に探る。高名なセラピストに相談すれば、原因をたちまち見抜いて、どうすればよいかを”教えてくれる”と思っている人がいるかもしれませんが、そうではないのです。

 

解決に至る道をクライエントと共に探し、歩んでいくには、相手を客観的に「観察」するのではなく、主体的に関わり、その人の心に起きている現象を共に「経験」する必要があります。そのためには、セラピストが「十分に心を開いた聞き方」をすることが肝要であり、それはクライエントの心の現象の「なかにいる」ということでもあると著者はいいます。

 

客観的な見方が不要だというわけではなく、客観的な見方だけでは人のなかの「内なる癒し手」の目覚めを手助けすることにはあまり役立たないということだと思います。「人のなかの種子が芽吹く」のを援助しようとするときには、その人の心に起きている現象を共に「経験」するというような態度やあり方を自分の真ん中に据えておくしかないと思います。

Share This