傷を負った癒し手とフラワーエッセンス(3):不治の傷

傷を負った癒し手とフラワーエッセンス(3):不治の傷

傷を負った癒し手とフラワーエッセンス(1):バッチ医師の命日が近づいて
傷を負った癒し手とフラワーエッセンス(2):神話の中のキロン・・・からの続きです。

相矛盾する要素をあわせ持つキロン

ギリシャ神話に登場する半人半馬の種族ケンタウロスのキロン(ケイローン)は「傷を負った癒し手」(The Wounded Healer)の元型的イメージとして注目される存在です。

キロンは小惑星(彗星?)の名前でもあったり、射手座はキロンが弓を引く姿と言われていたりして、きっと(?)占星学的にも重要な存在だと思いますが、僕は占星学に疎いので、ここに書いていることは占星学的なことは考慮していません。

前の記事で見てきたように、神話の物語の中でのキロンの存在自体、物凄くの相矛盾する要素をあわせ持っていることがわかります。上半身が人間、下半身が⾺の姿というケンタウロスであること、一般に野蛮で粗暴なケンタウロスの中にあって、彼は神の血を引いていて思慮深く勇敢で心温かい賢者であること…。

キロンと英雄たち

キロンは音楽や医学、狩猟を学び、それらに長けていました。ペーリオン山麓の洞穴に住んでいましたが、その洞窟のある谷は薬草の豊かさで知られていて、彼はその薬草で病人を助けて暮らしました。彼はアスクレーピオスに医術を教えました。また、アキレウスの師傅(しふ:貴人の子を養育する役目の人)でもありました。ヘーラクレースなどの英雄たちに武術や馬術を教えたのもキロンです。

不治の傷

そのヘーラクレースが狂気によって自分の子どもを殺してしまい、その罪を償うための12の功業の4番目のときに、あるいきさつからヘーラクレースとケンタウロス族の争いになり、ヘーラクレースの射た矢がケンタウロスのエラトスの腕を突き抜けて、意図せずキロンの膝に刺さってしまいました。

彼のまわりに小さくなっているケンタウロスどもをヘーラクレースが射て一矢を放ったところが、エラトスの腕を射抜いてケイローンの膝にささった。ヘーラクレースは困って走りよって矢を引き抜き、ケイローンが手渡した薬を施した。しかし、傷が不治であったので、ケイローンは洞窟の中に引き籠り、そこで死にたいと思ったが不死であるためにそれができず、プロメーテウスが彼の代わりに不死となるべくゼウスに自らを提供したので、それでケイローンは死んだ。(*1)

この矢にはヒュドラー(毒竜)の血が塗られていました。この毒は生物の全身の肉を腐らせて全ての生物の命を奪ってしまうという強力な毒で、神々でさえこの毒を防ぐことはできなかったのです。

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参考文献
アポロドーロス, 高津春繁訳 『ギリシア神話』 岩波書店, 1978
カール・ケレーニイ, 岡田泰之訳 『医神アスクレピオス』 白水社, 1997

*1: アポロドーロス, 高津春繁訳 『ギリシア神話』 岩波書店, 1978, p.92

 

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