ハンゲショウとドクダミ
京都府立植物園のハンゲショウ
ハンゲショウ(半夏生)という植物をご存じですか?
水辺というかほとんど水の中に生育するドクダミ科の多年生の植物です。下の写真は今年の夏至の日に京都府立植物園に行ったときのもの。加茂川門から入るとすぐにあります。
半夏生(ハンゲショウ)という名前
ハンゲショウという名前は、七十二候(しちじゅうにこう)という季節を表す言葉のうちの一つが由来のようです。春分とか、立夏とか、夏至とか…の二十四節気をさらに細かく分けた期間です。
「半夏」(ハンゲ)はもともと「カラスビシャク」という植物(蛇が鎌首をもたげて黒い舌を出したようにも見えるサトイモ科の植物:漢方薬の「半夏」がつくられる)のことで、その植物が生える頃を「半夏生」といいます。実際には夏至から11日たった日(現在では天球上の黄経100度の点を太陽が通過する日)のことなので、7月1日あるいは2日です。そのころ「カラスビシャク」が生えるということから、そう呼ばれるようです。
そして、後にその頃に花をつけるドクダミ科の別の植物のことを、花の咲く時期にちなんで「半夏生」(ハンゲショウ)と呼ぶようになったらしいのです。ドクダミ科のハンゲショウは、花が咲くとき葉が半分白くなるので「半化粧」とも呼ばれることから、「半化粧」という名と、花の咲く時期、七十二候の「半夏生」が重なってこの名前がついたともいわれているようです。
曼殊院弁天池のハンゲショウ
京都府立植物園以外にもハンゲショウが見られるところはいくつかあって、左京区の天台宗の寺院・曼殊院(まんしゅいん)の弁天池にもあります。下の写真は2016年のもの。この辺りは散歩コースにはもってこいです。すぐ近くには武田薬品工業の薬用植物園もあります。といっても、年に何回か行われる見学会以外の見学はできませんが…。そして、以前ワークショップで何度か使わせていただいた両面ガラス張りのチョー気持ちいい大会議室のある関西セミナーハウスもこの近くです。あー、そうだ。来年はここでフラワーエッセンスのワークショップをやりたいな・・・。
ハンゲショウとドクダミ
あー、話が完全にわき道に逸れてしまいました。もとに戻して・・・、ハンゲショウはドクダミ科です。ドクダミとハンゲショウを比べてみるのは面白いですね。
ドクダミには、代名詞ともいえるあの4枚の白い十字の、苞(ほう)とか苞葉(ほうよう)と呼ばれる葉が変化したものがありますが、それが葉の変化したものだということは、同じ仲間のハンゲショウを観察するとよりわかりやすいと思います。
葉と花穂と苞葉の、形と色と位置関係
最初の写真を見ると、ハンゲショウの葉と花穂(かすい:花が集まって穂状になったもの)の位置関係がわかりますね。次の写真はドクダミの葉の付き方をハンゲショウの写真と同じ位置関係にしたものです。位置関係は微妙に違いますが、似ているところがあると思いませんか。
3枚目はドクダミの苞(葉)と花穂の写真です。この3枚の写真を見ると、ハンゲショウはドクダミのように葉が完全に苞(葉)に変化していないことがわかります。色も半分だけ白いし、位置関係も基本的に葉の付き方と同じです。それに対してドクダミの苞(葉)は完全に白くなって、形や大きさもかなり変化を遂げています。
けれども位置関係は変わっていないんですね。3枚目のドクダミの花穂と苞葉の写真を、下の写真と比べてみてください。位置関係はまったく変わっていないし、形や大きさの名残もありますね。ドクダミの苞葉はAが一番大きくて、BとCが同じ大きさで、Dが一番小さくなっています。一方、下の写真の葉の付き方を見ると、大きさはBとCの托葉:たくよう(葉柄の根元にある小さな葉)が一番小さいですが、苞葉のBとCと同じように大きさが同じです。
植物が秘密を明かしてくれるとき
これを発見したときの感激は忘れられません(^^) そして、この後ちょうど中間の花を見つけたのです。「3枚の苞葉と1枚の葉と花穂」の状態のドクダミに出会ったのです。それが次の写真。当時いいカメラをもっていなくてとても分かりにくいのですが、なんとか確認できると思います。これは僕にとってドクダミがそっと秘密を打ち明けてくれたように感じられる経験でした。時間を使って労力を使って植物のところに通っているとこんな贈り物をもらうことがあるので、やめられませんね(^^)
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