カタクリが咲くまで—見えないところで少しずつ育まれるもの
三月も後半になると、
雑木林の林床でカタクリが咲きはじめます。
春の光を浴びて、薄紫の六枚の花びらが
羽ばたくように大きく後ろに反り返った姿・・・
確かに春が来たのだと感じます。

7〜8年、地中で
カタクリ(Erythronium japonicum)は
ユリ科の多年草です。
春に葉を出して花を咲かせ、
初夏には地上部がすっかり枯れ、
あとは土の中で夏も秋も冬も過ごします。
木々が葉を広げる前のわずかな期間だけ花を咲かせ、
夏前には地上部が枯れてしまう植物のことを
スプリング・エフェメラル(Spring Ephemeral)と
呼ぶことがあります。
「ephemeral」は「はかない、短命な」という意味で、
カタクリはまさにそのはかなさを感じさせる花です。
さらにカタクリは、種から発芽して、
はじめて花を咲かせるまでに、
7〜8年かかると言われています。
最初の数年は、ほそい葉が一枚だけ。
それが少しずつ大きくなり、
斑模様が入りはじめ、
球根が充実してきて——ようやく花芽をつけます。
その間、春の短い期間に光合成をして
球根を少しずつ大きくしていきます。
それは地上からは見えない変化です。

時が満ちると、現れてくる
カタクリが花を咲かせるのは、
春のごく短い期間だけです。
雑木林の木々が葉を展開してしまうと
光は地面まで届かなくなります。
だからカタクリは地面に光が届く間に、
精いっぱい花を開き、受粉して、種を結ぶ。
そしてまた土の中へ帰っていく。
その生き方を思うとき、
私は心の深いところが動かされるのを感じます。
7〜8年の間、春になれば葉を出し、
地中の球根を毎年少しずつ育て、
時が満ちたときに、はじめて美しい花を咲かせる。
目に見えないところで、少しずつ、
けれども着実に何かが育っている。
そしてタイミングが来たとき、
それは外に見える形で現れてくる。
私たちの中にも、そういうものがあるのではないかと、
カタクリを見ると思います。
今は姿を見せていない何か。
見えないところで少しずつ育っている何か。
時が満ちたときに光の下で輝く何か。

Fawn Lily——同じ族のエッセンス
FESのエッセンスに
「Fawn Lily(フォーンリリー)」があります。
学名は Erythronium californicum、
カリフォルニアに自生するカタクリ属の花です。
花の姿も、地中で球根を育てる生き方も、
よく似た植物です。
(種子から花が咲くまでの期間は、
カタクリよりは短くて5年くらいのようです。)
Fawn Lilyのエッセンスは、
深い感受性を持ちながら、
外の世界との関わりに
疲れを感じやすい人に用いられます。
静けさの中に生きているような人。
ひとりの時間を必要とし、
喧騒から距離を置きたくなる。
それは本質的な繊細さであり、
内側の豊かさでもあります。
けれども、引きこもりすぎると、
自分のなかにあるものが
世界に届かなくなってしまう。
Fawn Lilyは、その繊細さを大切にしながら、
世界のなかに自分の場所を見つけていくことを
助けるエッセンスです。
カタクリが7〜8年をかけて、
フォーンリリーが5年をかけて、
地中の球根を少しずつ育てていくように、
内側で少しずつ育てたものを、
時が来たときに世界へ向けて開いていく
ーーそういうことを助けるエッセンスでもあるのではないかと、
私は感じています。

今年もカタクリが咲く季節がきました。
あなたの内側で長い年月をかけて、
少しずつ育っているものは何でしょう。
カタクリの開花は3月下旬〜4月上旬。雑木林などに自生し群落が見られます。花は晴れた暖かい日の午前中が最もよく開きます。
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