他者に出会う~ゲーテ的な植物観察のアプローチに学ぶこと

2022年6月13日

ゲーテ的な植物観察のアプローチに学ぶこと

2020年は、予定していたすべての植物観察会は中止となってしまったので、

従来のような観察会の形で学んでいただくことは難しいですが、

ゲーテ的な植物観察を通して

何が学べるのかについて書いてみたいと思います。

(オンラインでの植物観察基礎講座の、植物観察上級講座を開催します。)

その一つは「自分の世界を出て、目の前の植物に出会う」ということです。

先入観や主観…花に重ねて見ているもの

たいてい私たちは無意識のうちに

個々の植物について

先入観や勝手なイメージをもっています。

たとえば、「チューリップの花」と言われると、

3つの先端をもつカップのような形を思い浮かべたりします。

また、植物のもつ姿かたちや仕草が与える印象を

「元気そう」とか「寂しそう」と感じることあありますが、

それらは植物の特徴のある面を捉えている一方で、

自分自身の内面の影響も受けています。

たとえば寂しい思いをしているときに

見たうつむき加減に咲く花には

「寂しげな花」という印象を持ちやすいのではないでしょうか。

あるいは、赤いチューリップの花のそばを

通り過ぎるとき、

「赤だ」と認識した後の私たちが見ているのは、

目の前のチューリップの花の色なのか、

それとも自分の頭の中の赤なのか・・・。

先入観や主観を脇に置く

そこで私たちがまず行わなくてはならないのは、

そうした先入観や主観を脇に置いて、

現に目の前の植物に向き合うことです。

「元気そう」とか「寂しそう」を脇に置いて、

あるいは、「きっとこうだろう」みたいな予測を捨てて、

目の前の植物の姿かたちや色が

現にどうかを丹念にたどることです。

個人的な経験からいうと

実際にこの作業をやってわかることは、

「ああ、自分は・・・をきっと〇〇だろうと思っていたんだな、

でも実際は違うんだな」ということです。

自分の先入観や主観に気づくことと、

目の前の植物が現にどうかということが分かることは、

同時に起こります。

そして、それは一種のアハ体験のような喜びの感覚です。

自分の理解の枠に収まらないものをそのままに

対象にこのように向き合うことは、

普段の生活ではほとんどないかもしれませんね。

私たちは通常、対象を分析して分類して

自分の知っている体系の中に収めようとします。

それは左脳のはたらきと言われていますが、

そうすることで私たちは

理解した気持ちになるし、落ちつきます。

もちろん、それが悪いわけではありません。

普段の生活はそういう面が多くを占めています。

もし、すべての対象に意識を添わせて、

自分の世界を出るようなかかわり方をしていたら、

通常は身がもちませんね(^^)

けれども、こうした観察でやろうとしていることは

自分の主観の世界や

自分の理解の枠から出ることです。

自分の世界や自分の枠に

収まらないものを収まらないままにして、

形や色を丹念にたどることです。

これはおそらく右脳的な作業です。

自分の世界を出て

植物に意識を添わせることです。

植物の形や色をたどり、

それを経験することです。

それによってはじめて私たちは

すでに知っている植物ではなく、

現にいま目の前にある植物に出会います

私たちと植物が共有している自然、いのち

自分の主観の世界や、

理解の枠を超えて、

目の前の植物に出会う経験は、

自然の不思議、いのちの不思議に

出会うような経験に感じます。

そのときに私たちが経験する心の動きは、

私たちと植物が共有している何かを

感じて起こるように思います。

それを探求しようとするのが

フラワーエッセンスで行われる植物観察です。

そして、そのときの私たちの心の動きが

フラワーエッセンスの作用につながっていま

対象が人の場合にも…

何度も植物観察をしていて

いつも思うことがあります。

それは、この植物観察のアプローチは

人を理解するうえでも

とても大事なことだということです。

私たちは、先入観や主観で

人を見てしまいがちです。

それは誰にでも普通に起こっていることです。

それが私たち人間ですね。

けれども、私たちが

人を理解しようとするときには

ゲーテの自然観察のアプローチで

植物につながるときのように、

自分の世界を出る

のがいいと思うのです。

いくら身近な人でも

立場も状況も、価値観も違います。

人は一人ひとり世界をもっている「他者」です。

自分の世界から出て

先入観や主観を脇に置いて

「他者」の世界に

触れさせてもらうことができるとしたら、

それはその人にとっても

そして私たち自身にとっても

大きな希望だと思います。


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