『影の現象学』(河合隼雄著)を読むZoom読書会
『影の現象学』第1章「影」を読む

河合隼雄先生の著作『影の現象学』の第1章「影」を読む読書会です。
「心のこと」に興味を深めていった一番のきっかけは、NHKでたまたま見た、河合隼雄先生の京大の退官記念講演でした。先生の著作にこれまで幾度となく支えられ、勇気づけられてきました。一度だけ京都の講演会のとき会場の一番後ろに立って、お話を聞いたことがあるだけですが、勝手に自分の先生にしてしまっています。これまで、どれほど河合先生の著作に励まされ、勇気づけられ、癒されてきただろうと思います。『影の現象学』は今の時代に改めて立ち返りたい本の1冊です。
自分がより自分自身になっていく過程を、ユングは自己実現の過程とか、個性化の過程と呼びました。一般に使われる「自己実現」という言葉は、「自我」の願望をかなえることを指す言葉になっているように思いますが、ユングのいう個性化の過程で向き合うことになるのが「影」です。『影の現象学』の第1章「影」を読むことで、影がどのようなもので、それは自分とどのような関係にあり、どのような危険と発展の可能性を秘めているかということが理解できます。こうした理解は、フラワーエッセンス療法はもちろん、私たちがそれぞれの人生のなかでより自分自身になっていこうとする変容の過程で必ず向き合うことになります。
「誤解と分断」の背景に「影の投影」?
日常のなかで私たちは「誤解や分断」に直面することが増えているように思います。個人的な人間関係のなかで起こる対立や断絶、SNSでの炎上、あるいは政治的・文化的対立、戦争…。果たしてこうした状況を解決する術はあるのでしょうか。表層的な対処や意見の調整ではいかんともしがたいように思われます。
この読書会では、ユング派の心理療法家・河合隼雄先生による『影の現象学』第1章を手がかりに、「誤解と分断」の背景には、私たち自身の「影」の投影という現象が関係している面があるのではないか?という問いを立ててみたいと思います。
「影の投影」は、自分の受け入れがたい側面を他者に投影する心の無意識のはたらきです。他者に対して強い嫌悪や怒りを感じるときがあります。「自分は正しい」「相手が悪い」「相手が悪だ」と思えてくることがあります。実はその心の動きに自分の中の否認された部分が関係している場合があるかもしれないのです。これは個人の心理にとどまらず、集団同士の対立や社会的な差別や偏見の背後にもはたらいています。
私たちは、自分の影を見ることができないと、他者に影を投影し、拒否や排除を繰り返してししまいます。それはいじめや「魔女狩り」的な振る舞いにもつながります。「誤解と分断」の深層には、このような私たちの無意識的な心の動きが関わっているのではないでしょうか。
この読書会では、単に「影」についての知識を得るのではなく、物語や文化に表現された「影のイメージ」を通して、自分自身の影に向き合うきっかけとにしたいと思います。いま私たちが生きる社会の「誤解や分断」を「影の投影」という視点で捉えたときに何が見えてくるでしょう。少なくとも個人のレベルで、見出せなかった接点を見出すことができるのではないか。互いが共有しているものがあると気づくことができれば、それを通してつなれるのではないか。そこから対話を開いていくことができるのではないか。「影」のなかに光を見出すことができるのではないかと考えます。
内容
『影の現象学』
第1章 影
1.影のイメージ
影を失くした男
影とたましい
イメージの世界
2.ユングの影の概念
「影」の夢
「影」の概念
心の構造
3.影の種々相
投影
影の反逆
影の肩代わり
永遠の少年
第1回
1.影のイメージ
影を失くした男
影とたましい
第2回
1.影のイメージ
イメージの世界
2.ユングの影の概念
「影」の夢
第3回
2.ユングの影の概念
「影」の夢
「影」の概念
第4回
2.ユングの影の概念
「影」の概念
心の構造
第5回
3.影の種々相
投影
影の反逆
第6回
3.影の種々相
影の反逆
影の肩代わり
第7回
3.影の種々相
影の肩代わり
永遠の少年
読書会の形式:解説と共有
少しずつ読みながらスライドを使って解説します。その後参加者の方の質問に答えたり、感想を共有したいと思います。オンラインで参加の方は書籍を入手して(アーカイブ参加の方も書籍は入手してください)事前に一読し、疑問に思った箇所、印象に残った箇所、感銘を受けた箇所、一緒に考えてみたい箇所などをチェックして参加してください。それぞれの方の感じたことを尊重する場にしたいと思います。
オンライン参加で聞いているだけもOKです。ビデオオフでの参加もOKです。
参加方法
オンライン(Zoom)での参加
開始10分以内に入室してください。10分を過ぎると入室できない場合があります。
録画アーカイブでの視聴も可能です。
アーカイブ視聴の方は、解説の部分を読書会開催の数日後に録画で視聴していただくことができます。参加者の方の質問や感想はプライベートな内容が含まれる場合録画には残しませんので、予めご了承ください。また無音部分をカットして編集する場合がありますので、録画の時間は60分程度になることがあります。(オンラインで参加された方もアーカイブを聞いていただくことができます。)
開催日時
プレ講座:6月8日(日)10時~11時(無料)
参加を希望される方は以下のリンク先にご登録ください。プレ講座といっても堅苦しい講座形式ではなく、どんな感じで進めていくかや、思いつくことを話したいと思います。
日程変更の可能性があり、現在受け付けを保留しています。
2025年
第1回:7月6日(日)10時~11時30分
第2回:8月3日(日)10時~11時30分
第3回:8月17日(日)10時~11時30分
第4回:9月14日(日)10時~11時30分
第5回:9月28日(日)10時~11時30分
第6回:10月19日(日)10時~11時30分
第7回:11月9日(日)10時~11時30分
参加費
各回のお申込み:3,000円
6回分一括でのお申込み(第1回~第7回):19,950円(5%off)
※お申込み後1週間以内に参加費をお振込みください。
定員
5名 (最少催行人数2名)
※お申込みが2名に達しない場合は順延となります。
申し込みフォーム
受け付けを保留しています。
キャンセルについて
基本的にキャンセルはできません。欠席の場合は録音アーカイブをお聞きください。