風とアスペンの物語
ヤマナラシ属と風
個人の花の記憶の普遍的な部分が植物の物語になるんじゃないかな、と思うのですが、たとえばバッチフラワーレメディー(バッチエッセンス)のアスペンの植物の特徴とその物語について考えてみると・・・
アスペン(ヤナギ科ヤマナラシ属 Populus tremula)は日本ではヨーロッパヤマナラシと呼ばれています。それは日本に近縁種のヤマナラシという植物があるからです。
ヤマナラシ属は、一般に葉柄が長くて、断面は縦に平たくなっていて横幅よりも縦の幅の方が広いのが特徴。下の動画は落葉したアスペンの葉ですが、中央矢印部分に注目してもらうと、その特徴がわかると思うのですが・・・
そのため、微風にもすぐに揺れ動くんですね。こんな感じで。
「ヤマナラシ(山鳴らし)」って名前は、わずかな風にも葉がはためいて音を立てるところからついた名前のようでです。風が吹くとヤマナラシの木がサーッという音を立てる。家の中にいてもわかる。あー、今日も山が鳴ってる。風が吹いてる・・・みたいな。
下の動画はヨーロッパヤマナラシ(アスペン)が風に葉をはためかせている様子です。スマホだったので音がちゃんと拾えてませんが・・・。
上の動画を撮ったときは結構風が吹いていました。
アスペンのジェスチャーと人のタイプ
アスベンの葉が微かな風も感じ取って全体にはためくジェスチャーは、アスペンタイプの人が無意識的に周囲に意識を広げて不穏な空気を感じ取ってしまう傾向とイメージが重なると思いませんか。
アスベンはヤナギの仲間なのですが、そう、ウィロウの親戚なのですが、ヤナギ科は大きくヤナギ亜科とヤマナラシ亜科とに分かれます。
アスペンも日本のヤマナラシもヤマナラシ亜科の中のヤマナラシ属に分類されます。アスペンの葉柄の特徴などはこのヤマナラシ属の特徴でもあります。
ヤマナラシ属の名前は調べてみると、とてもおもしろいですね。「ヤマナラシ」と呼ばれる所以は前の記事に書きましたが、東北地方のある地域ではヤマナラシのことを「ヨメフリ」と呼ぶそうです。ヨメフリは「夜雨降り」と書きます。ヨル、アメ、フリ!夜、家の中で聞く、風を受けて鳴るヤマナラシの音は、雨降りかと間違えるような音なんでしょうね。
さらに興味深いのは、ヤマナラシ属の名前が風との関係に由来するのは日本だけではないことです。中国では「風響樹」という名前がついているそうです。こうなってくるとなんか感動しますね。そして、そもそも学名のPopulusには「さらさら鳴る」「震える」という語源があるといわれています。(*1)
地域や文化が違っても、風との関係がこの植物の名前の由来になっていることは物凄く興味深いですね。その植物を人間がどのように経験するかということは、個人の植物の記憶になると同時に、人類が普遍的に共有している記憶にもなり得るんだと思います。
遠い昔の時代からそれぞれの植物が人間にとってどのように経験されてきたかという記憶が、そして、それぞれの植物が人間をどのように経験してきたという記憶が、私たちの心の深層に静かに横たわっているのかもしれません。
アスベンの葉が微かな風にもはためいて音を立てるジェスチャーは、アスペンタイプの人の意識が周囲に広がりすぎて無意識にネガティブなエネルギーを感じ取って、漠然とした説明のつかない不安感を抱く傾向とイメージが重なります。
こうした重なりは本当に興味深いです。けれども、それは重なりであって、植物のジェスチャーとフラワーエッセンスの性質の関係は一対一の対応関係、まして因果関係で説明できるようなものではない、と僕は思っていますが、その話はまたアーキタイプの話のときに…。
と思っていたら、ジュリアン・バーナード氏は『バッチのフラワーレメディー 植物のかたちとはたらき』の中で次のように述べています。
「植物をポジティブ、ネガティブと捉えるのは間違っているでしょう(レメディーをそのように捉えることも、本当は間違いでしょう)。むしろ植物の形は、すべての思考のかたち(思考形態)の表れなのです。」
ジュリアン・バーナード、谷口みよ子訳 『バッチのフラワーレメディー 植物のかたちとはたらき』 フラワーレメディー・プログラム・ジャパン 2013, 47p
それで、アスペンの木全体を見ると、空に向かって真っすぐに伸びる幹があります(下の写真の中央の3本の木がアスペン)。風にはためく葉と大地をつなぐしっかりとした幹があります。
周辺にばかり意識が広がって大地との関係を失うと(グラウンディングできていないと)、それは過敏さとなって不安や恐怖につながるかもしれませんが、アスペンの木はその中心に大地との関係を保つしっかりとした幹があります。
青い空を背景にすっくと立つその姿は、未知の風の中へわが身を置き、風を感じ、風を受けとめながら、天を目指して伸びていく自由さと力強さをもっています。
アスベンの葉が微かな風にもはためいて音を立てるジェスチャー自体は、ネガティブとかポジティブとか一つに意味づけすることのできない、アスペンの個性だと思います。
そして、アスペンのフラワーエッセンスやアスペンの植物の存在全体が思い出されてくれるのは、大地と空の間で風を受けながら光に向かって伸びて行く自由で力強い生命力が、アスペン・タイプの人のたましいにも同じようにあるんだということです。
アスペンのフラワーエッセンスにできること
アスペンのフラワーエッセンスは、何かよくないことが起こるんじゃないかといった不安感や恐怖を、なかったことにしたり、押さえ込んだり、自分から切り離したりしてくれるわけではありません。
もし、それを期待してアスペンのフラワーエッセンスを飲んだとしたら、なんだフラワーエッセンス、効かないじゃん。てことになるかもしれません。
じゃあ、アスペンのフラワーエッセンスには何ができるのか?
アスベンの葉が微かな風にもはためいて音を立てるジェスチャーは、本来ネガティブとかポジティブとか一つに意味づけすることのできない、アスペンの個性です。
フラワーエッセンスにできるのはその個性を生かすこと。
その個性を生きる手助け。
意識が広がってその周辺で感じ取る無意識的な不安や恐怖を経験している人の心に、アスペンはアスペンの言葉でこんなふうに語りかけるかもしれません。
全体を見てごらん。
大地に根ざすまっすぐな幹を感じてごらん。
風にはためく私の葉は、
未知の風を受け、風を感じ、風を味方に
空へ向かう強さの証。
アスペンのフラワーエッセンスにできるのは、不安や恐怖と未知の空へ伸びていく強さとを、切り離されたバラバラのものとしてではなく一つのものとして、本来もっている個性をより全体として経験できるように助けることではないかと思います。
*1:『週間 朝日百科82 世界の植物 ヤナギ・クルミ』
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