大きな木が倒れて——ジュリアン・バーナードさんの訃報に接して

スイートチェスナットの古木(イギリス・ロンドン)

9月13日、ジュリアン・バーナードさんが亡くなりました。
心より哀悼の意を表します。
そして、バッチが遺したものを、
人生をかけて私たちに手渡してくださったことに、
深く感謝いたします。

バーナードさんは、
イギリスでヒーリングハーブス(Healing Herbs)をつくり、
バッチのフラワーエッセンスを
つくり続けてきた人です。

日本語に訳された本も何冊かあって、
私の手元にも5冊ほどあります。

訃報を聞いたとき、 大きな木が倒れたように感じました。
大きな木は、ずっとそこに立っていてくれる。
そんな期待を、無意識に抱いていた自分に気づきました。

スイートチェスナットの古木 全体(イギリス・ロンドン)
Castanea sativa(スイートチェスナット)2022年5月・イギリス・ロンドン|写真:Nick Blewden / iNaturalist(CC0)

そして、それをきっかけに、
それまで考えていなかったことを、
考えています。
1つは、彼の仕事の大きさ。
もう1つは、時代が変わろうとしている、ということです。

目次

バッチが遺したものに、向き合い続けた人

講座「花とたましい」では、
彼の『バッチのフラワーレメディー 植物のかたちとはたらき』から、
エッセンスや植物についての彼の観察や考察を
ほぼ毎回引用して、
受講者のみなさんと一緒に、
理解を深めてきました。

また、彼が編集した『エドワード・バッチ著作集』は、
バッチ自身がエッセンスをどのように捉え、
どのように表現したかを知るための原点として、
フラワーエッセンスを学びはじめた方に勧めてきました。

『植物のかたちとはたらき』の序文は、
「バッチ」という名前をめぐる法廷闘争に関わる話から始まります。
バッチの名前を商標として独占することは無効だと認めさせるための、
長い闘いのことです。

はじめて読んだときは、
なぜこの話から始めるのだろう、と思いました。
そのことは、また別の機会にお話しできればと思います。

いま改めて思うのは、
バッチが遺したものに誠実に向き合い、
探究し、
理解し、
次の世代へ受け渡すことを、
亡くなるまで続けた人だった、ということです。
それ自体が、とても大きな仕事だったと感じています。

私の手元にある彼の本のうち、
バッチの38種のエッセンスを解説している2冊には、
自分でエッセンスをつくる方法が丁寧に書かれています。

バッチ自身も、1934年版の著書
『The Twelve Healers and Seven Helpers』のなかで、
「あらゆることが自分ででき、
望めば植物を見つけてレメディをつくることさえ、
自分でできる」と書いていました。
この一文は、生前最後の版となった
1936年版では削除されていますが、
つくり方そのものは残されています。

フラワーエッセンスを自分でつくるという選択肢を、
バッチは意図的に残しました。
そして、バーナードさんもまた、
その選択肢を次の人に手渡すことを
大切にしていた人だということが
著書から伝わってきます。

時代が変わる

バッチが最初のエッセンスをつくった1928年から、
もうすぐ100年になります。

バーナードさんのように、
バッチの38種をつくり続けた人だけでなく、
エッセンスをつくる手法や精神性を受け継いで、
イギリス以外の土地でも
質のよいフラワーエッセンスをつくり、
世界に届けてきた人たちがいます。
その人たちがこの世界を去りつつある時期に、
いま入っているのだと思います。

大きな木が倒れたように感じたのは、
この訃報が、その現実が目の前に迫っていることを
実感させる出来事だったからだと、
少し時間が経ったいま、思います。

そしてそれは、
私自身の仕事にも期限がある、
ということでもあります。
頭では分かっていたつもりでしたが、
今回は、そのことがズーンと心の底に沈んでいきました。

  ここから5年、10年、何をするか。

これまでと同じ道を一歩ずつ

自分も、そう遠くない将来、
この世界を去ることになる。
そう考えれば考えるほど、
出てくる答えは、
新しい何かではありませんでした。

自分にできるのは、
これまでやってきたことで、
その道を一歩ずつ進んでいくしかない。

期限があると知って、
何をするのかが、より切実になる。
だからといって、出てくる答えが
変わるわけではないのは、
私がバッチやバーナードさんから
手渡してもらったと信じるものが
私の活動を貫いていることの証しかもしれません。

私の活動を貫くものは、
植物と、フラワーエッセンスと、人の心、
この3つの関係を深めていくことです。

その一番の機会になると思っているのが、
自分のためにフラワーエッセンスをつくる経験です。

そのための集中研修を、
2022年から2025年まで、
岡山県美作市の里山で続けてきました。
つくり方のノウハウを学ぶことが目的ではなく、
里山の自然のなかで、体験を通して、
植物と、
フラワーエッセンスと、
そして自分自身との関係を
深めていくことを目指す研修です。

この研修を通して、私は何度も、
魂が満たされるのを経験しました。

今年は開くことができませんでしたが、
再開に向けて、
一歩ずつ歩みを進めていきたいと思っています。

バーナードさんから手渡されたと信じるものを、
私は私の場所で、手渡していきたい。

あなたがこれまでフラワーエッセンスを通して
受け取ってきたもので、
これからも育てていきたいものは、何ですか。


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