『昔話の深層』を読む読書会
『昔話の深層』の前書きには、
河合隼雄先生がユング研究所に留学されたときに、
おとぎ話の研究で有名なユングの愛弟子、
フォン・フランツ女史(Amazonで著作を見る)
のことが出てきます。
フォン・フランツ女史と聞くと、
僕は河合先生が語っておられた、
女史がユングとはじめて会ったときの
エピソードを思い出します。
これを聞いたときには感動しました。
それはどんな話かと言うと・・・
フォン・フランツ女史は高校生のときに
はじめてユングに会われたそうですが、
それは、ユングが時代の変化を感じ取ろうと、
若い人たちのことが知りたいといって
そのような機会を設けたときのことだったようです。
フォン・フランツ女史は
ユングの孫か、甥の友人だった関係で、
招かれていろいろ話をしたらしいのですが、
雑談しているときにユングが、
最近自分は月から帰って来た人と会ったんだよ、
という話をしたらしいのです。
それを聞いた女史は、
当時は人間が月に行けるわけもないので、
人間が月にいけるはずないじゃないですか!
と抗弁した。
それに対してユングは、
私の知っている人は本当に月に行ったんだよ、と。
フォン・フランツはユングのその言い様に
ハッとして心を打たれる。
何の説明をされなくても、
そうか、この人は本当のこととして
聞いている人なんだ!と。
人の内的真実を追求しているんだと。
その時フォン・フランツは
ユングの元で勉強しようと
決心したというお話を
河合先生が語っておられました。
すご過ぎて言葉がありません!
『昔話の深層』の前書きの最後に
こうあります。
「本書は昔話を通じて
人間の生き方を考えるようにし、
ある程度、自己実現の過程ということが
示されるように順番も配置してあるので、
昔話ということを離れて、
自分の人生について考える、
という点でも意味があるものと思っている」
この読書会が皆さまの内的真実に響く
会になればと思います。
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