植物観察は内側の世界と外側の世界をつなぐ

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私たちが生きている二つの世界

私たちは二つの世界に生きている。
と考えてみることはできないでしょうか。
外側の日常の世界と内側の心の世界。

そして、この二つの世界では
次のような二つのことが起こっています。

一つは、外側の世界で経験したことを
自分にとってどんな意味があるか、
これまで自分が生きてきた物語と
どんなふうにつながるか、
つながらないか…。

つまり、現実に起こったことを
私の心の世界の言葉に翻訳して
私の心に収めていく作業です。

もう一つは逆向きの翻訳作業で、
心の世界で起こっている出来事や
イメージを現実の世界に表現すること。
それは日常の人間関係を通しての
やり取りであったり、
あるいは、アートという形に限らず
すべての人にとっての
創造的な活動であったりします。

このことをイメージする助けとして
上向きの三角形と
下向きの三角形で
表してみると次のようになります。

人にはそれぞれ、
もって生まれた個性があり、
育った環境があるので、
外界に比重のある人もいれば、
内界に比重が置かれる人もいます。

生きづらいとか、
生きにくいと感じるとき、
この二つの世界のつながりが
自分のなかでどうなっているかを
意識してみてはどうかと思うのです。

植物観察は内側の世界と外側の世界をつなぐ

たとえば、外側の世界で
起こっていることに向き合うよりも、
内面の世界に比重が置かれているような人には
ゲーテの自然観察のアプローチを土台にした
植物観察がお勧めです。

ゲーテの自然観察の
アプローチ自体についての解説は
別の機会に譲るとして、
植物を観察することが
どのように内側の世界と
外側の世界をつなぐのか
もう少し説明してみたいと思います。

まず、普段花を見るときのことや
花を思い浮かべるときのを
考えてみましょう。

たとえば「チューリップの花」を
描いてくださいと言われると、
皆さんならどんなものを描きますか?

僕なら、3つの上向きの
ギザギザのあるカップのような形を
描くかもしれません。
でも、これは実際の
チューリップとは
かけ離れていますね。

こんなときはどうですか?
赤いチューリップの花のそばを
通り過ぎたときのことを
思い出してみてください。

赤いチューリップが
目に入って、
「赤いチューリップだ!」
と思った瞬間から、
私たちは果たして、
目の前のチューリップの赤を
見ているでしょうか?

実際には「赤」といっても、
深紅のような赤もあれば
青味を帯びた赤もあるし、
オレンジに近いような
赤もあるでしょう。

そもそも、一枚の花びらの
すべての部分が
同じ赤をしているなんてことも
実際にはないでしょう。

にもかかわらす、私たちは、
赤いチューリップだと
「わたかった」瞬間から、
細部に意識を向けることを
やめてしまうことが
あるようです。

どうやら私たちは、
花の形や色について
先入観や勝手なイメージを
心の中にもっていて、
目の前の花を
本当には見ていない
ことがあるのかもしれませんね。

日常の意識で
普段私たちが見ているのは
目の前の外側の世界の赤
というより、
内側の世界の赤
なのかもしれません。

もしそうなら私たちは
外側にある赤を
本当には体験していない
ことになりませんか?

目の前の植物を体験する

フラワーエッセンスの
植物観察の一歩目は、
目の前のチューリップの赤を
実際に体験しよう。
「赤だと思っている」色に
丁寧に触れてみよう、
ということです。

目の前のチューリップの
物質としての
形や色の細部にまで
意識を届かせてみよう、
ということです。

すると、驚くほどの発見に
いくつも出会います。

「自分はいままで
何も知らなかった」と
知るときの喜び(^^)

(実はこの感覚は
自分の心について、
本当はこうだったんだと
発見したときの感覚に
とてもよく似ていると
思います。)

形あるものの、
形や色の細部に
丹念に意識を届かせて
現にどうかということを
知ったときの喜び。

それは先程の話でいうと、
外側のチューリップの赤と、
内側のチューリップの赤が
ピタッと重なったとき。

下向きの三角形と
上向きの三角形とが
つながったとき。

植物観察では
こうした作業や取り組みを
続けていくわけですが、
そうすると、心の中に、
植物の形や色が
生き生きとありありと
再現されるようになります。

外側の世界と内側の世界が
いきいきとつながることが
起こっています。

それはつまり、
植物の形や色の
変化の過程を
私たちが内側の世界で
追体験しているということですね。

形や色という物質に
丹念に意識を向けて、
その変化をたどることによって
形や色の変化を可能にしている
形や色の変化の背後に
はたらいている
自然の力、
いのちの力に
つながることができます。

これが、植物観察が
二つの世界をつなぐ体験になる理由です。

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